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預金準備率引き下げ ジレンマに陥る中国

2011年12月04日
 
【新唐人2011年12月5日付ニュース】中国では11月、約3年ぶりに製造業に縮小傾向が出現。そして11月30日、中国の中央銀行は3年ぶりに、預金準備率、すなわち銀行から強制的に預かる資金の割合を下げ、金融緩和に踏み切りました。これについて、中国の政策の重点がインフレ抑制から景気刺激に移ったとの見方が広まっています。

中国では11月、製造業の購買担当者指数、PMIが10月の50.4から49に低下。約3年ぶりに50を割りました。これは製造業の縮小を意味します。

このPMIは、インフレ圧力の弱まりを示します。また11月の新規輸出受注指数も10月の48.6から45.6に低下。ウォールストリートジャーナルは、欧米の経済低迷が中国の商品需要にも影響していると指摘しました。

預金準備率を0.5%下げたことは、結果的に、銀行業界に約4000億元を投じたことと同じです。これにより、銀行からの融資が増えると見られます。

これは2年間続いた金融引き締め策の転換を意味するとイギリスのフィナンシャルタイムズは指摘。この2年、インフレの抑制を図ってきました。

さらに11月、中国の100都市では3ヶ月連続、前年同月比で住宅価格が下落。住宅の販売量も大きく落ち込んでいます。

これに対し専門家は、当局はインフレ対策よりも、ハードランディング対策を優先したと言います。

NY市立大学シティカレッジ 陳志飛教授:「中国政府は国際的慣例の貯蓄率や銀行の金利で通貨流通量を調節せず、預金準備率で調節しました。そこで これらの資金が大幅に国営企業や不動産業 貸出し業に流れ、不動産バブルの再発のおそれがあります」

李克強副首相は先日、来年も不動産抑制策に取り組むと表明。しかしウォールストリートジャーナルは、金融緩和に伴い、その取り組みは難しくなると指摘。お金を不動産業者ではなく、中小企業に流れるようにすることが肝心だと述べています。

共産党の機関紙、人民日報は預金準備率の引き下げについて、不動産市場に対するものではなく、ましてや不動産抑制策の緩和でもないと評論。

一方ウォールストリートジャーナルは、中国の金融緩和策は、予想よりも早く、しかもこれから数ヶ月続くだろうとの見方を掲載しました。

国務院発展研究センター・金融研究所の巴曙松副所長は、今回の預金準備率の引き下げについて、硬直化した資金の流れを促すためであり、安定成長を最優先にしたと分析しました。

NY市立大学シティカレッジ 陳志飛教授:「中国政府はジレンマに陥っています。緩和策をとればインフレが悪化し、緩和策をしなければハードランディングを免れません」

中国が預金準備率引き下げを打ち出した数時間後、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本など6カ国の中央銀行が、ドル資金を各国の銀行に貸し出す金利を引き下げると発表しました。

有名な経済専門家の葉檀さんは、6カ国の協調について、金融引き締めなどの市場の正常化の努力が、債務危機を受けて、失敗に終わったと指摘。これまでの通貨バブルが招いた通貨危機はすでに、収拾のつかないところまで来たと分析します。

さらに、金融緩和策は短期的に痛みを和らげても、実体経済を救えないと言います。世界経済に欠けているのは資金ではなく、新たな収益モデル。今、銀行の融資や企業投資を促しても、将来の通貨バブルのリスクを植えつけるだけだと警告しました。

新唐人テレビがお伝えしました。

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